ハノイの楽器街 - 二胡弦堂

 


 東南アジアの伝統音楽は中国・潮州由来で共通性があります。そのため、あちこちに二胡のような楽器があります。今回、ハノイの方に演奏会を聴きに行く用事があったので、ついでに楽器街も見に行くことにします。ハノイはホアンキエム湖周辺に旧市街があり(地図の中央)、地図の東南角付近にはフランス統治時代のオペラハウスもあります。旧市街には安宿が多いので、ここに投宿し、歩いてオペラハウスに行ったりしていました。現地に行ってからの情報で、地図内の赤枠のあたりに楽器店が多いということで見に行ってまいりました。

 話が少し逸れるのですが、皆様はツアー以外で海外に行く場合、安宿を選択されますか。ちゃんとしたホテルに泊まりたいという方もおられるでしょう。安宿という言い方をするから語弊があるのかもしれませんが、日本のビジネスホテルよりもっと良い設備のところも結構あります。民宿のようなタイプもあるので様々ですが、家族経営の宿は安全性が高いという特徴があります。一方、高級ホテルの問題点は、外に出るまで時間がかかるということです。大きいので部屋から玄関に行くまで10分ぐらいかかるところさえあります。旅の場合、コンビニ=冷蔵庫という概念が必要で、部屋からコンビニの距離が長いのは非常に不便です。時間も貴重で、歩行距離を如何に短くするかというマネジメントも重要です。ほとんどの人は1日に1万~1.5万歩に抑えれば大丈夫でしょう。しかし歩くのを厭うとわからないことも多くなります。高級ホテルは高いし、立地自体が不便であったりもしますから、イメージだけで決めるのではなく諸条件をよく考える必要があります。そうすると、多くの人がなぜ安宿街を目指すのかわかるでしょう。あまりに快適で、旅を航海に例えて俗に「沈没」と言われる現象、もうそこから動けなくなって、親の仕送りでブラブラしている人が結構いたりします。活動的な人の場合は沈没する方が苦痛なのでそういうことにはならないと思いますが、それぐらい旅行者の生活のために色々揃っているのが安宿街の特徴ということなのです。ハノイの場合はホアンキエム湖周辺、サイゴンはファングーラオ通り、大阪は西成といった感じで決まっていますので、世界中大都市であればどこに行ってもまずはそういうところを目指すのが基本です。



 東南アジアの弦楽器の形状はどこもほとんど潮州の楽器を継承しています。象嵌を多用するのも同じです。細かい形状の違いや工夫はありますが、基本的な部分に変更がないのは、潮州楽器の完成度の高さを示すものだと思います。

 棹に白い点が打ってあるのが見受けられますが、これはデザインで音程を示すものではありません。千斤の高さが人それぞれなのでこういうやり方で音程をわかりやすく示すということはできませんが、千斤を固定すれば可能ではあるので、こういうものがあっても良いような気はします。



 弦楽器は大きさが幾つかあり、幅広い音域を網羅しようという意思が感じられます。それ以外に打楽器の多いのが目立つので、弦と打が中心で構成されているものと思われます。この辺りも中国の影響が感じられます。



 ベトナムの楽器は総じて材の質があまり良くないと思います。しっかり探せば良いものもあるのでしょうけれども、少なくとも楽器街には安価なものしかありませんでした。他には音楽院の近くに楽器店がたくさんありますが、こちらは西洋楽器中心なので本題とは関係ないと思います。