台北楽器店レポート - 二胡弦堂

 


 2018.09.09に台北に行く機会がありましたので、民族楽器を置いているとされる2店を見て参りました。日本や中国のショップではそれぞれ別の事情ではありますが品揃えが偏っています。例えば弦堂でも数軒の工房のものを扱っているに限られ、いろんなものを見れるということはありません。台湾の2店ではそういうことはなく、本当に楽器店らしい幅広く網羅した品揃えです。顧客はいろんなニーズがあるので本来はこうあるべきです。しかし日本や中国では問題は多岐に亘り、実現は難しいし、顧客からも支持される傾向にありません。その点、台湾はちょうど良い、大陸に対しての距離感が程よく、顧客は大陸の情報にも接することができるので、全体的に一定の水準にあります。日本人が大陸の情報に接する場合、両者の思考法があまりにも違い過ぎてどうにもマッチングしない、弦堂の場合は大陸在住ですが、それでも最初の数年は違和感が相当あったぐらいなので、その隔たりは今でも相当なものだと思っているし、むしろ広がりさえ感じるし、仕事で中華に関わっておられる方も今では少なくないのでそれらの方々も同じように感じられる筈です。しかし台湾人は大陸と日本の両方を理解し、これについては韓国も同様なので、この両国の経済は、日本と中国の溝を埋めることで成り立っているぐらいです。溝は埋まることはないでしょう。「国破れて山河あり」なる有名な言葉もありますが、「山河破れても溝はあり」ぐらい隔たりがあります。そういう関係から台湾においては日本と中国の両方の良い面を吸収した感があります。二胡というものに関しても漠然と広く見たい場合、台湾の楽器店は良いところです。ただ価格は安価というわけではないので、わざわざ台湾に行って買ってくる理由はないと思いますが、あちこち行かなくても狭いところで一遍に見れるのはメリットです。


 長安楽器さんの店内です。写真には写っていませんが、如何にも商社という感じの事務所も併設されています。おそらく学校関係に卸したりもするのでしょう。楽器を置くスペースも多くて色々見るには良い環境です。


 もう一軒は先進楽器さんです。ここは楽譜がたくさんあってその周辺に楽器が置いてあるという感じがします。楽譜はすでに大陸では入手が難しいものをあったりするので確認が必要です。こういうところの品揃えを見ると、台湾人の考え方、大陸とは違う彼らの重視しているものが何かというのがわかります。そして台湾人の方が理に適っているのは間違いないでしょう。ほとんどが大陸からの輸入ですが、何が置いてあるかはチェックの価値があります。