中国で二胡を購入して帰られるのは通関の問題がありますから容易ではありません。意外とこの問題は日本人の方がよく知っていて、中国人は販売店すらわかっていない場合が多いです。そういうこともあってか弦堂の方で2007年の9/3に1通CITES申請した時は通しナンバーが100ぐらいで、これはおそらく年間のワシントン条約関連の手続きの通関がたかだか150ぐらいしかないことを示しているのかもしれませんが、そうだとすれば少ないです。これは中国から世界へ、ですから日本だけではありません。しかも二胡だけではありません。皮のバッグとか装飾品の方が多いです。ただ1回の通関に通常、企業の場合は多数を一度に通しますので、数自体はもっと多いです。この数は北京だけと思いますので、工場が少ない場所ということを考えると妥当なのかもしれませんが、それでもここは大都市なので少ない気はします。二胡の場合、購入者や販売店ではなく工房の方が申請するのは別の役所で、この総数はわかりませんから、実態もほとんどわかりません。手続きはそんなにたいへんではなく通常20日営業日以上で審査が通ります。通関については法律が変わることもありますので、中华人民共和国濒危物种科学委员会で情報を集める必要があります(といっても全然わかりませんが)。ビザなし15日以内の渡航の場合は、無理だと思います。
通関手続きを購入店に依頼する場合は、パスポートがあれば手続きできますが、自分で手続きするなら二胡の購入時に左の写真のカード、収蔵証を貰っておく必要があります。カードも幾つかデザインがあって、この黄色のカードは少なくなってきています。未使用のものをとりあえず1枚貰えば良いです。それとレシートが要ります。これは各地方政府の正式なものでなければなりません。发票(ファーピャオ:日本語的発音でもOK)というものを貰います。それから濒危物种进出口备案咨询申请表というものをダウンロードして用意するのですが現在ダウンロードできなくなっていますので事務室で貰うしかありません。さらにこのダウンロード資料とは別に手書きの申請書を1枚書く必要があります。これは事務室に見本があります。パスポート、レシート、カードのコピーを取り、国家瀕危物種出口事務室(北京市朝阳区芍药居甲2号院16号楼406室 TEL 010-84664927)に出向いて提出します。
あらかじめ電話しておく必要があります。部署全体で結構頻繁に社内旅行もしますので全く誰もいないこともあります。社内旅行計画は北京市内の楽器街でも把握されていますので電話して聞かなくてもわかることもあります。弦堂は電話して「今、建国門にいるからすぐ行くよ」というと「誰もいないからまたにして」と言われることがあります。いや、いるから電話に出たのでは? しかし弦堂はコソコソ声で「書類受け取るだけやろ?」と穏やかに諭し強引に申請したことがありますが、良い子の皆さんはくれぐれも真似をしないようにご注意を促したい次第です。最近は専属の人が常駐するようになっています。それでも突然行くと受け付けなかったりと(強引に受付させることは可能「時間ないんよー」「お腹空いたんだって」などと発言します。お堅いのはいけません)対応はマニュアル通りという感じですので電話はしておく必要があります。この専属の人はおそらく部署の予算で雇われた人で公務員ではなく、デスクはオフィス区画外の入口脇に置かれています。おそらく不正防止の一環だと思います。それで手土産の持ち込みで忖度を持ちかけたりはできません。どういうことなのでしょうか? 中国の場合、法律は厳密に整備されておらず、ある程度現場に任されています。ということは事務局の人の発言がそのまま法律というかなりの権限があります。それで飴ちゃんをあげてとか、そういう感じから入ってきます。そうでないと通るはずのものが全く通らないことがままあります。それで問題が多かったので、今はそういうことが一切できないルールになっています。部署の人は基本的に対応しないようで、弦堂が世間話を持ちかけて面白いことを言っても極力相手にしない、ニコニコして少し話すこともある程度です。「明日、雨降るのかな?」に対しても答えないぐらいです。専属の人は権限がないので全部指示通りにします。それで最初の電話から書類まで全て規定通りに進める必要があります(当たり前のような気もするんですが)。大抵の方は1回しか行かないと思うので問題ないと思いますが、数回行くと書類は通して貰えなくなります。この場合、専属の人は商売を疑うように言われているようで、販売目的は書類を通しません。実際には全て自分用であっても明確な証拠があったとしても信用しませんので(つまり忖度はマニュアルにないので)あまり頻繁に行かないようにしなければいけません。これはおそらく国内の産業の保護のためだと思いますが、中国の業者にはもっと厳しいので実際のところはわかりません。大手だと問題ないようです。それで日本に入ってくる二胡は割と特定の工房の作品が多いのです。1回目だと特に問題はないと思いますが、言葉が通じないということで中国人と行くと結構問題が多いので外国人だけで手続きする方が望ましいです。喋れなくても手続きできると思います。場所は以下に地図を添付しておきます。赤で丸のついた建物です。地下鉄を使って行くという例で、行き方などを今から解説します。
地下鉄・芍药居駅を降りるとこういう歩道橋を渡って西側に出ます。13号線で降りるとすぐにここに出られますが、10号線からであれば案内もなく構内は附近の住人しかわからない構造で複雑です。10号からであればまず13号線のホームに行きます。乗り換えの要領で13号ホームに出ればそこから改札へ向えば結構です。10号線は地下鉄、13号は高架なのでエスカレーターで上に上に向います。13号改札は13号ホームより上にあります。10号で降りたのであればとにかく上に向うということです。このルートはほとんどの人が把握していませんので、附近の人に聴いてもわかりません。図上Aの地点の東側に改札B、西側は地図を見るとここにA出口がありますが、実際には存在していませんので地図を頼りに出口を目指すと混乱します。地図Aから左(南)を見たのが上の写真です。階段を降りてその方向へ向います。
歩道橋を下りて、右なりに曲がっていくとこういう風景になります。B地点です。ここはA地点から、上から見下ろしたあたりです。ここをもっと進みます。
「超市」と書いてあるビルの向こう側まで目指します。C地点です。
「超市」ビルの端まで来るとこういう感じのところがあります。D地点です。ビルに入っているテナントは行くたびに変わっていますが「超市」はずっとありますので目安になると思います。入り口には写真のアーチがあったのですが現在は撤去されています。ここを右に曲がります。事実上、曲がるのはここだけなので重要ポイントです。
こういう真っすぐな道がありますので、どんどん中に入ります。これもほぼD地点です。上の構造物がすでに撤去されたものです。店も入れ替わりが激しいということにも留意して下さい。写真ではありませんが今は「京东」という運送会社があるので大量の荷物と赤いカート車が路上に出ているのがこのD地点からもわかります。
E地点です。真っすぐ進んだだけです。正面に植え込みが見えてきました。そこまで行くと左手を見ます。
左にこういう門があります。F地点です。これを入ってもっとまっすぐ行きます。正面に青い壁の5階建てぐらいの建物がありますが、この傍らをもっと進んで突き当たりまでいきます。この青い壁のビルが目的地です。
突き当たりまで行って右をみると「林业餐厅」が見えます。G地点です。その向こうに白いものが見えますが、それが下の写真です。
左に警備員が立っているのが見えます。「何しに来た?」というので、話せない人は二胡を演奏するゼスチャーをすれば「入れ」と言われます。明らかに日本人だと分かる外見の方は何も言わなくてもわかりますので問題ありません。彼はとてもとても暇なので、皆さんの来訪を大いに喜びます。名前などを記帳してエレベーターで4階に上がります。
エレベーターを下りるとすぐにこういうところがあります。ここはオートロックが機能していませんので、構わず進入します。406号を探して入ります。ここを入って右に曲がったところにあります。20営業日以降にまたここへ戻ってきてCITESを受取ります。