絹弦の中には着色したものもありますが・・? - 二胡弦堂

 


 日本の三味線の弦などの中には色をつけたものがあります。これは弦の規格を識別しやすくする以外にも、見た目の美しさも追求しているのかもしれません。現代の中国絹弦には着色がありません。以前は中国弦にも着色されていたようですが、そういうものがなくなっていったということは、美意識の違いか単にコストと手間の問題かもしれません。

 二胡の古楽器とは何でしょうか?の稿で、周少梅によって改良された二胡について言及があります。当時の二胡は現代で言うところの二胡と二泉胡があってそれぞれDAとGDという調弦でしたが、周によって作られた二胡はAEかbBFに調弦され、使われていた弦は二泉弦でした。絹弦では二泉弦とは言わず、老弦(内弦)と中弦(外弦)と言っていました。そしてこの時に老弦に緑、中弦に赤で着色していたようです。これ以降、いつまで着色されていたのかはわかりません。尚、周少梅が老中弦のみを使っていたのかどうかはわかりません。なぜなら周の作曲作品はDA、つまり子弦(外弦)、中弦(内弦)を使った作品が多いからです。周が第三把位に至る二胡奏法を共同研究した盲目の孙文明はbB-Fで調弦される曲を複数作曲していましたから、この両者は使っていた弦が違ったのかもしれず、周は江南絲竹の作品が多いことから単にDAが多くなっているのかもしれません。作品によって開放弦の音程を自由に変え、それに伴い、使う弦も変更することがあったと考えるのが正しいと思います。

 2008年、日本人研究者のノーベル賞受賞が多数発表されてからまもなくこのようなものが開発されました。

蛍光絹弦。二胡用ではない。

 蛍光絹糸の開発に成功という記事です。主に安全面で採用される衣服用だと思いますが、楽器用の弦にも使われることがあるかもしれません。