中国人も二胡についてのいろいろな疑問はあるのでしょうか? - 二胡弦堂

 


二胡は日本でも人気がある  このご質問コーナー、堅い内容ばかりで、時々厳しい現実に首を突っ込むこともあるので、皆様に親しんでいただくにはほど遠く、時々「これでいいのか」と自問しつつ追加していますが、今回は、お隣の国の皆さんは二胡という楽器をどんな風に思っているのか、ご紹介して軽めに楽しんでいただこうと思います。

 と言いながら、関係ない話から入りますが、となりの写真は尖閣問題が発生するわずか数ヶ月前の日本観光局の広告です。だいぶん前のものです。中国人は日本というと桜をイメージしますし、日本に行ったら桜で記念撮影、見栄面子重視なので証拠のためにとにかく記念撮影を好むので、撮影は絶対外せませんが、そういう中国のニーズをしっかり押えています。百度で検索を勧めるのも親和性がありますし、極め付けは面子を保てる「親孝行」です。盛りだくさんです。中国人をしっかり研究しています。中国観光局が日本を研究したらどういう広告になるのでしょうか。

 中国の方々は、子供の時から伝統芸能をテレビで観たりして親しんでおり、たいていの方は若い方でも、梅蘭芳を聴き分けられます。今でも伝統音楽はテレビでしょっちゅうやっているので、音楽に全く関わっていない大多数の人民でも二胡という楽器を客観的によく知っています。それで「二胡を拉いています」というと「すごい!」と言われます。すごく難しい楽器なのはよく知られています。ここは日本とちょっと違うところかもしれません。日本人は二胡といわれてもあまりよくわからない場合が多いかもしれません。外国のものですし。

 中国人が二胡を好きな理由は日本人と変わらないと思います。京胡や高胡が好きではない理由も同じだと思います。京胡や高胡は音が甲高くて中国でも人気がないということです。しかしこれは一般論としてです。

 北京には楽器屋街があるので、すでに演奏している人だけでなく、何か演奏できるようになったらいいなと思っている人も遠慮がちに徘徊しており、人口が多いのでそういう人は常にいます。誰かが通りで演奏していると多くの人が興味を示します。人だかりができることもあります。しかし二胡にはほとんど誰も興味を示しません。年配の男性はたまに寄ってきますが、すでに長年の演奏者で一般の人ではありません。そこでこれを京胡に持ち替えて鳴らしてみます。そうすると特に若い女の人が興味を示すことが多く「私にも拉けますか?」「教えていただけますか?」と言われて当惑することしばしばです。聴くために戻って来る人さえいますが、必ず若い女の人と決まっていて、それ以外の人はいません。男の人は基本的に嫌います。そして同じように高胡であれば中年の女の人が多いです。「これは何という楽器ですか?」「あなたの楽器はここの店に売っていますか? 同じものが欲しいのですが」などと言ってきます。高胡には若い男の人も反応し、子供も「習う」などと親に言い出す場合もあります。若い女の人はそれほど反応しません。この結果は一般に言われていることとは違います。たぶん魅力が伝わるような体験をする機会がほとんどないのだと思います。テレビや演奏会のような催し物だと距離が有りすぎるのかもしれません。生でしかも間近にエネルギーを浴びるとそれは当然違います。体に振動が来るか来ないかで印象がだいぶん違うものです(楽器街ではいろんな水準の人が拉いていますが、結果はどれも同じです)。そういう機会がないとどうしても二胡に流れるのだと思います。二胡が実験?で不評だったのは、音圧が小さいからだと思います。音量が小さく、周りの交通とか色んな音にかき消させてしまっているのだと思います。二胡は戯劇の主要楽器としてはあまり使われないと思いますが、他の楽器は弦楽器1把で劇をリードしていくので、それだけで人を説得するぐらいパワーがないといけません。そういう特質が屋外で演奏した時に人を惹き付けるのかもしれません。

 本題に戻りますと、中国の方々の二胡に関する質問の主流は子供関係です。子供に習わせる場合の問題点です。この場合、たいてい親は拉けません。それで「うちの子は、どうしたら音程が合いますか?」とか、そういうことを聞いてきます。「第一把位で小指が届かないのですが・・」とか、そういう感じなんですね。たいてい楽器店の人たちは「練習するしかないでしょう」などと答えています。でも親は何とかならないかと思うみたいですね。子供がしょんぼりして横に立ってたりするので、ちょっとかわいそうです。二胡のレッスンは大人でもたいへんですから子供だとなおさらです。